壮大で圧巻の映像美と音楽、そしてひと夏の成長を描いた映画「竜とそばかすの姫」

こんにちわ。おはようございます。こんばんわ。マベ太郎です。

今回も映画に関する記事を書いていきたいと思います。今回の記事は、細田守監督の最新作「竜とそばかすの姫」の感想を書こうと思います!

細田守監督と言えば、「サマーウォーズ」や「おおかみこどもの雨と雪」、「バケモノの子」など素敵で熱い、作品を世に送り出していて、毎回胸にこみ上げてくるものがあって、すごく期待をしていた映画でした!そして、いろいろ感じる事はありましたが、やはり胸が熱くなって、感動させてくれました。ぜひぜひ、映画館に足を運んでみてもらえたらうれしいな~と思います!

 

竜とそばかすの姫、とは?

そもそも、竜とそばかすの姫ってどんな作品なのか?っていうと!

高知県の田舎に住んでいる、内藤鈴(すず)は幼い頃に母親を無くし、それ以降、心を固く閉ざし、そして、母親を亡くしたショックから今まで好きだった「音楽」を楽しむことができなくなってしますが、インターネット上の仮想空間「U」、そしてその”U”の中でのアバター:Belleとの出会いによって、大きく世界が変わっていくと同時に、その”U”の中で出会った、「竜」という狂暴なアバターとの出会いを通して、成長していく物語です。

といろいろと書いてみても、わからないと思いますので、まずは予告編を観てみて頂きたい!

竜とそばかすの姫 予告編1

 

竜とそばかすの姫 予告編2

 

<ストーリー>

50億人がすれ違う

美しくも残酷な仮想世界。

ベルの歌声は世界を変える――

自然豊かな高知の田舎に住む17歳の女子高校生・内藤鈴(すず)は、幼い頃に母を事故で亡くし、父と二人暮らし。
母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったすずは、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。

曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、親友に誘われ、全世界で50億人以上が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>に参加することに。<U>では、「As(アズ)」と呼ばれる自分の分身を作り、まったく別の人生を生きることができる。歌えないはずのすずだったが、「ベル」と名付けたAsとしては自然と歌うことができた。ベルの歌は瞬く間に話題となり、歌姫として世界中の人気者になっていく。

数億のAsが集うベルの大規模コンサートの日。突如、轟音とともにベルの前に現れたのは、「竜」と呼ばれる謎の存在だった。乱暴で傲慢な竜によりコンサートは無茶苦茶に。そんな竜が抱える大きな傷の秘密を知りたいと近づくベル。一方、竜もまた、ベルの優しい歌声に少しずつ心を開いていく。

やがて世界中で巻き起こる、竜の正体探しアンベイル

<U>の秩序を乱すものとして、正義を名乗るAsたちは竜を執拗に追いかけ始める。<U>と現実世界の双方で誹謗中傷があふれ、竜を二つの世界から排除しようという動きが加速する中、ベルは竜を探し出しその心を救いたいと願うが――。

現実世界の片隅に生きるすずの声は、たった一人の「誰か」に届くのか。
二つの世界がひとつになる時、奇跡が生まれる。

竜とそばかすの姫 映画HPより引用

映画の見どころ

ここからは自分的な映画の見どころとネタバレを含む自分なりの感想を書いていこうと思います!ここから先はネタバレを含んでいるので、映画をこれから観る人は注意してください!

圧倒的な映像美のライブシーン

今回の映画で、もっとも印象に残っているシーンとして、”Belle”のライブシーンです!

Bellを演じるのは京都出身のミュージシャン“中村佳穂さん”という事もあり、時に繊細に、時に弾けるように明るく活気にあふれた歌声を堪能する事ができます。その音楽を映画館の音響システムの影響からか、音の粒の一つ一つが自分の身体いっぱいに感じる事ができて、本当にその映画の中にいてライブに参加しているような気分にさせてくれます!

まずは、この物語の舞台となる”U”の可能性とその壮大な物語の始まりを告げる“U”から始まって、鈴が初めて「U」というアプリと出会い、”U”という世界に自分の身体が投影し、今まで声に出す事ができなかった思いを繊細に歌い上げる“歌よ”、”U”の世界でBelle と 竜の心の触れ合いを描くシーンに流れる“心のそばに”など、そのシーンの感動や躍動感を何倍にもしてくれる映画音楽がこの映画の魅力のひとつだったと思います!そして、この映画の終盤のシーンで流れる“はなればなれの君へ”という歌も穏やかで、そして温もりで包み込んでくれるそんな歌ですごく感動的です。一部はyoutubeでも配信しているので、よかったら聞いてみて、映画の魅力を感じてみてください!

millennium parade – U 『竜とそばかすの姫』メインテーマ

 

竜の正体、そして救いと成長

今回の映画の大きな謎というと、竜」という存在です。

この竜という存在は”U”という仮想空間において、突如現れ、暴力的な行動で時には戦った相手のデータを修復できないほど、ボロボロにするような狂暴なキャラクターなのですが、その「竜」という存在がなぜそこまで他者に対して、攻撃的な態度を取るのか?そして、この「竜」の背中には無数のアザがあり、日に日に少しずつ増えていくという噂もあり、謎の多い存在です。

その「竜」も「U」の中での行為が原因で”U”の世界の警察のような存在「ジャスティン」に追われるようになってしままいます。そんな「竜」の姿をみた、鈴(Belle)は「俺を観るな」と突き放した言葉の奥にある“悲しみ”“怒り”の感情を感じ取ると同時に、興味を持ってしまう事になります。なぜ、興味をもったのか?というのを考えてみると、「竜」という固く心を閉ざしている存在がどこか、“母親を亡くした事で、閉ざしてしまった自分”と重なり、そんな自分をどこかで助けて、少しでも支えてあげたい。何か心の中にある感情を少しでも聞かせてほしい。いつか自分がそうさせてもらいたかった時のように。そう感じてしまったのでしょう。

そんな「竜」は次第に”U”全体の中で一方的に「悪の存在」として、有名になり、現実世界の誰が「竜」なのか?という事に興味を持つようになり、誰もが犯人捜しをするように「竜」の存在を探そうとします。そして、その世界の流れが大きなうねりとなり、ついには「ジャスティン」が持つ、強制的に現実世界の姿を映し出す力「アンベイル(Unvail)を使ってでも、その姿を見つけ出そうという事態になるのですが、そんな事になったら現実世界の「竜」はさらに心を閉ざし、誰との繋がりも持とうとせず、誰も信用しない、今の自分のような存在になってしまうと思い、「アンベイル」されるよりも先に、鈴が見つけようとします。そんな中で膨大なネット上のデータの中から、鈴と竜のみが知る音楽が聴こえてきて、奇跡的に見つけ出す事ができるのですが、その竜の現実世界での姿は親からの虐待を受けている、主人公とは縁のない”恵くん”という子供なのでした。そんな「竜」の等身大の姿を知り、心の底から救いたいと思って、ネットを通じて、話しかけるのですが、「竜」にとっては本当に相手が”Belle”なのか?信用できない、さらに今までも同じように「助ける」と言ってくれた人が何人もいたが、誰一人として、本当に助けてくれた人がいなかった!!という怒りを悲壮な事実を突きつけられ、一方的に話を打ち切られてしまいます。

それでも、”恵くん(竜)”を本当救いたい鈴は、相手の信頼を得るために、自ら「ジャスティン」の「アンベイル」の力を自分に使わせて、現実世界の”鈴”が”U”という世界の”Belle”であると、50億人の前にさらし、「竜」の信頼を得ようとします。その大きな行動の結果、再度、“恵くん”と話しをすることができるようになります。

しかし、その姿が虐待をする父親に見つかってしまい、また突如、話が切られてしまいます。居場所に関する情報がなく、どうしようもなく、呆然と立ち尽くす、鈴なのですが、周りの人達がその通話の中で得た、情報をもとに少しずつ、居場所を見つけ出していきます。そして、最後にはどこに彼らがいるかがわかるようになり、その地の役所に連絡を取り、すぐに駆け付けるように話をするのですが、「お役所仕事」のような対応しかしてもらえず、頼りにならない。いてもたってもいられない、鈴は電車と夜行バスを乗り継ぎ、”恵くん”のいる東京へと向かいます。そして、目的地にたどり着き、”恵くん(竜)”と出会う事ができますが、そこに虐待をしている父親が現れ、暴力を受けます。それでも、勇敢にその父親の前に立ちはだかり、子供を守ろうとする姿を前にして、ついに父親は恐れをなして、その場から逃げていきます。そして、「おれも頑張るよ」という”恵くん”の決意を聞き、その場をあとにして、自分の家へと戻っていくのでした。

さて、この中で、最終的に“竜とBelleは現実世界でも会うことができて、Belleは竜からの信頼を得る事”に成功し、且つ、本当の悪であった、“竜の父親”を倒す事で“恵くん”を助けるという目標も達成しているのですが、その代償として、”鈴の素顔を”U”を使用している50億人の人間に晒しています。

SNSにおいてはやはり匿名性というのが一番の強みになっていて、その強みがあるからこそ、自由な表現や自由な反応を表現する事ができるようになり、その自由な使い方が時には大きなうねりとなり、世界的な変革を起こすきっかけになりさえします。逆に匿名性がなくなり、個人が特定されてしまうとその一挙手一投足に対して、監視の目が付くようになり、”Belle”のようにフォロワーの数が多い人ほど、その自分の言動や行動への責任が高まっていき、時には批判や中傷を受けるような事態にも発展しかねないのですが、なぜそこまでして”竜”を救おうと思ったのでしょうか?

そこには、やはり幼いころに亡くした母の存在があるのではないか?と思います。

彼女の母親は、鈴が幼いころに、川の中州に取り残された全く知らない子供を助けて、そのあとで増水した川に流され、命を落としてしまいます。鈴はその時に、見知らぬ子どもを助けに行こうとする母親に「行かないで!」と必死に呼びかけます。それはそうでしょう。増水して勢いを増している川の濁流は恐ろしさは、いくら大人だからと言っても助かる保証がない事は感じ取れると思いますし、周りの大人たちも川に取り残された子供を助けに行けない=それだけ危険が多く、助けに行くとなると自分も危険になる。という事を証明しております。それでも母親は“見知らぬ誰か”を助けるために自分の命がどうなろうとかまわないから、どんなことをしてでも助けたい。目の前に救いを求める人がいるならば、傍観するのではなく行動を起こしたいという強い正義感があり、川へと向かっていったのだと思います。この行動は鈴は、「娘である自分よりも、他人の子供を優先された」という気持ちへと繋がり、「自分は価値の無い人間なのだ」という考えになり、自分を責め、大好きだった歌も歌う事ができなくなってしまったのでした。

そんな鈴が今回、母親と同じような境遇になりました。

見知らぬ他人を助けられるかもしれない。けれどもそのためには、自らのSNS上での大きなリスクである、匿名性の放棄を行わざるをえない。だが、それはSNS上での死に近い状態となると同時に、友達と一緒に作り上げてきた、”U”の世界のBelleというカリスマ的な地位を捨てる事になります。ですが、ここで鈴は今自分が置かれている状態が「母親と同じ境遇」である事。そして、母親はどんな思いで川へと飛び込んでいったのか?という想いを知ることがこの時、ようやくできるようになったのだと思います。それは「自分の娘よりも他人の子どもの方が大事だった」とかそういう事ではなく、ただ単純に「目の前にいる誰かを救いたい」という純粋な気持ちだったのです。そして、その気持ちというのは、鈴自身も母親と同じように持っていて、だからこそ、他人である「竜」を救うために、50億人の目の前に自分が何者なのか?というのを晒す事を選択し、信頼を得ようとしたのです。そして、この瞬間に、自分が母親と同じ精神を持ち合わせていること、自分が母親に育てられて同じ正義感を持ち合わせていること、そして自分が母親の子供であり、愛情と教育を受けてきた事。を感じ、今までトラウマとして心の曇らせていた、「娘である自分よりも他人の子供を優先された」と考えてきた事が間違っていたんだという事を知るのでした。純粋な想いだけで自分を突き動かす事がどれだけ今の現代社会で難しいか、そしてそれがどれほど尊い行いなのか?という事を示してくれているとおもいました。

そして、この時救われた、”竜”こと”恵くん”においても、本当の意味での救いを得る事ができたのだと思います。劇中でも話されていましたが、今までも「助ける」という言葉をかけてきた人は何人もいた。けれども、誰一人として本当の意味で手を差し伸べてくれた人はいなかったのです。SNSでの匿名性を利用して、自分がDVをしてくる父親から報復を受けたりする事がない場所から、ただ自分の正義感という欲求を満たすためだけに、「自分なりの助ける」をしただけで、本当の意味での彼を助けることはしていないのです。そんな事が繰り返されるうちに、彼の中に「他人に対する不信感」が募り、いつしかそれが憎しみへと変わり、”U”という仮想空間上での、あの狂暴で恐ろしい姿を作り出し、他者に対して心を完全に閉ざしてしまったのでした。

そんな彼の心を開いたのは、鈴です。今まで上辺のみの助けるだけだった、”恵くん”にとって本当の意味でDVをする父親から解放しようとしてくれた。そして、自分の家まで会いにきてくれて、そして、母親のような温かい腕で抱きしめて愛情を感じさせてくれた。それを感じる事ができて、きっと恵くんは鈴から救いを得られたのだと思います。このDVを受けていた恵くんたちは最終的にどうなったか?というのは映画の中では明示されませんでしたが、彼の力強い言葉と得られた信頼や繋がりは必ず、恵くんを幸せへと導いてくれるのだろうと思います。

さて、今回は”竜とそばかすの姫”に関する感想と自分の想いを書いてみました。細田守監督と言えば、夏の映画というイメージが強く、やはりサマーウォーズでのひと夏の成長とか、青空と入道雲という夏の風物詩をスクリーンいっぱいに映えさせるというイメージがあり、今回の映画もひと夏の成長、そしてスクリーン越しに夏を感じさせてくれる映画だったと思います。みなさんも興味が出たら、映画館でこの映画を観てみてください。それでは~♪

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